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CBDは肝臓に負担?肝機能を阻害する副作用があるって本当?

2023.05.12 UP

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CBDは肝臓に負担?肝機能を阻害する副作用があるって本当?

新しいサプリメントや医薬品を使い始めるとき、副作用が気になるものです。特に肝臓へのダメージは不安の一つであり、CBDを使ってみたい人も例外ではありません。

マウスによる最新の研究では、CBDを大量に摂取すると肝臓にダメージを与える可能性があるとの調査結果が発表され話題になっています。

CBDを使うのは控えた方がいいのでしょうか?
CBDを使ってみたいけどCBDの肝臓への悪影響が気になる方に、研究報告を交えながら疑念にお答えしたいと思います。

高用量のCBDが肝臓にダメージを与える可能性

CBDの唯一の医薬品であるてんかん治療薬のエピディオレックス(Epidiolex)の審査において、FDAは、「人が医学的監督なしに服用する高用量のCBDは、肝臓障害につながる可能性がある」と指摘しています。

また、より多くの情報が必要ではありますが、2019年、マウスを使った初期段階の研究で、「極めて高用量のCBDが肝臓にダメージを与える可能性がある」ことが発表されました。

このことで、不安を抱いたCBD愛用者もいるかもしれません。
通常の使用量であれば、肝臓の心配をする必要はないのでしょうか?
このマウスによる研究報告が意味することと、専門家の見解をお伝えしていきます。

CBDとマウスの肝臓に関する研究と結果

アーカンソー大学の研究者は、マウスに様々な用量のCBDを投与した場合の影響を調査しました。
その結果、ヒトの体重1kgあたり200mgに相当する非常に高用量のCBDを投与されたマウスは、肝臓毒性の明らかな兆候を示しました。
さらに、1日につき、ヒトの体重1kgあたり50mgに相当する量のCBDを、長期間にわたって繰り返し投与した場合も、マウスの肝臓の腫れと損傷の徴候が見られました。

この研究結果の発表において、研究で使用したCBDの量は、人が一般的な状況下で使用する量よりもはるかに多いことを認めています。

専門家の見解は用量の問題

マウスの研究結果を受けて、ほとんどの専門家は、健康食品のリスクを知ることは重要であるものの、CBDの肝臓の影響について心配になる必要はないと考えています。

その理由に、マウスに投与されたCBDの量は、治療目的でヒトが摂取する量よりもはるかに多いことが挙げられています。そして、マウスの場合のように、肝臓にダメージを与えるような量のCBDを摂取する必要性は、どんな目的においても存在しないということです。

一般的に、治療用のCBDの用量は、1日あたり0.5mg/kg(ヒトの体重1kgあたりCBDを0.5mg)から、20mg/kgまでです。例えば、体重50kgの人であれば、1日あたり「25~1,000mg」ということになります。
上記のマウスを使った研究では、体重50kgの場合だと「2,500mg」のCBDを摂り続けたことに相当するので、治療目的で通常服用される量よりも、はるかに多い量のCBDが使用されていることがわかります。
治療目的でない一般的な使用だと、ほとんどの人は1日あたり10~80mgですので、それと比べるとなおさら、マウス実験は極めて大量に摂取した場合であることがおわかりいただけるかと思います。

専門家は、「治療範囲で用いるCBDの量は一般的に安全であり、極めて高用量での毒性は懸念されるが、それは他のサプリメントや医薬品と変わらない」と結論づけています。
医薬品の鎮痛剤を大量摂取した場合にも有害な副作用をもたらすように、CBDも過剰に摂りすぎると同じことが言えるということです。

マウスの結果がそのままヒトに当てはまるわけではない

さらに、別の専門家は、「マウスとヒトの遺伝子はよく似ているが、生理学的には異なる」ことも指摘しています。それが意味することは、CBDはマウスで確認されたほどにはヒトの肝臓にダメージを与える可能性は低いということです。

また、異なる用量のCBDの安全性を調べたヒトでの研究では、ヒトに推奨される1日の最大用量である20mg/kgを使用しても、肝障害の事実がなく、人間への悪影響はないことが判明しています。
さらに、他の研究においても、1日に1500mgのCBDを6週間摂取した場合でも、危険な副作用は確認されず、CBDの安全性を発表しています。

一般的なCBDの量では肝障害のリスクは低い

2020年の研究レビューでは、医薬品として使用されるような高用量のCBD製品でも肝臓障害のリスクは低く、サプリメントや食品のような低用量のCBD製品では肝臓障害のリスクはずっと低いと結論づけています。

また、2021年の研究でも、約800人がCBDを摂取した結果、自分の健康を自分で管理するセルフメディケーションのレベルでは、CBDは肝臓にダメージを与えないという結論が出されています。
被験者がCBDを摂取してから30日前後で肝臓検査を行い、すべてが正常であることが確認されました。
ただし、CBDの摂取用量と肝臓への影響については、より多くの研究が必要であることが強調されています。

低用量のCBDが肝臓に良い影響をもたらす

上記の通り、「一般的な使用量の場合には、悪影響を及ぼすリスクは低い」とされているだけでなく、実は、「肝臓に有益な結果をもたらす可能性がある」ことも示されています。

肝臓の炎症に対するCBDの可能性

動物実験では、「CBDが肝臓病と関連する2型糖尿病の発症を抑制する」ことが示されています。
また、マウス研究では、「低用量のCBDが肝臓の炎症を抑える可能性」が示唆されています。
さらに、臨床試験で、CBDは抗炎症作用、抗酸化作用、肝保護作用を示しています。CBDとTHCの両方が、炎症性変化と脂肪変性を伴う慢性肝疾患における治療の可能性を示しており、肝臓の健康を改善する可能性があります。

ただし、CBDが肝臓に与える影響については、もっと研究されるべきであり、より多くの情報を収集する必要があります。

ウイルス性肝炎に対するCBDの可能性

ウイルス性肝炎は、炎症を特徴とする最も一般的な感染症の1つです。肝炎は、肝臓がんや肝硬変の形成につながる恐れもあります。

CBDは、ウイルス性肝炎、特にC型肝炎に対して良い影響があることが示されています。「Pharmacognosy Research」に掲載された研究によると、CBDはC型肝炎ウイルスの複製をほぼ90%阻害することが示されました。
ウイルスに対する抑制効果は用量依存的でしたが、細胞に対する毒性はほとんど示されませんでした。また、CBDはB型肝炎ウイルスを含む感染細胞を死滅させることが確認されましたが、ウイルスそのものを抑制することはできていません。

いずれもヒトに対する研究は限られており、多くの研究を必要としています。

肝虚血に対するCBDの可能性

虚血は、肝臓手術や肝臓移植の後遺症として起こる非常に一般的な傷害です。大きな炎症を伴い、移植や拒絶反応を起こすと死に至ります。酸化ストレスは、この症状を悪化させます。

CBDは炎症反応を抑え、酸化的ダメージから肝臓を保護するのに有用であると考えられます。
ある実験では、CBDは炎症と酸化ストレスを軽減し、肝臓の悪性細胞の死滅を促進しました。
また、他の研究では、虚血性肝障害のマウスにCBDを投与すると、その症状に関連する肝障害が有意に減少することがわかりました。

肝性脳症に対するCBDの可能性

肝性脳症は、肝臓の損傷や障害に起因し、人格の変化、混乱、運動障害などの症状を引き起こします。重症化すると昏睡状態に陥ることもあります。

肝性脳症のマウスを対象に行われた研究では、CBDをマウスに投与するとマウスの神経機能と認知能力が回復することを確認しました。
また、CBDは血中のアンモニア濃度を下げ、肝機能の回復と肝酵素の数を正常化させたことが報告されています。

アルコール誘発性肝障害に対するCBDの可能性

2014年の研究では、CBDがアルコール誘発性肝脂肪症、つまり脂肪性肝疾患に良い影響を与えることが示されました。
脂肪性肝疾患とは、肝細胞に脂肪が溜まりすぎている状態のことで、アルコールの大量飲酒によって引き起こされることがあります。

アルコールの摂取をやめれば通常脂肪の蓄積はなくなりますが、アルコールの摂取が続くと肝臓の肥大や肝炎、肝硬変になることもあります。
CBDはアルコールによる肝障害の予防効果があり、またアルコールと一緒に摂取することで血中のアルコール濃度を下げる作用があることもわかりました。

CBDは肝臓の酵素に影響しますか?

CBDが肝機能にどのように影響するかについて調べた研究では、CBDが薬の代謝に必要な肝臓の酵素(肝酵素)の一部を阻害することが分かりました。
研究では、「人は一般的にCBDに耐久性があり、安全である」と言われていますが、肝臓が薬物を代謝する能力とどのように相互作用するかにより、他の薬物の効果を変化させる可能性があるとされています。相互作用には、サプリメント、ハーブ製品、市販薬や処方薬も含まれます。

CBDは他の薬物の効果を変化させる

多くの薬は肝臓の酵素によって分解されるのですが、CBDがこれらの酵素に作用すると、体内の薬の量に濃度変化がおきます。
そのことで、CBDの高用量との組み合わせは肝臓に影響を与え、薬が効かなくなったり、副作用のリスクが高まったりする可能性があります。

ペンシルベニア州立大学医学部の研究者は、カンナビノイドの影響を受ける可能性のある医薬品を特定し、その中で濃度が変化すると危険な薬をリストアップしました。
以下の薬を服用している人はCBDとの強い薬物相互作用の可能性があり特に注意が必要です。

  • 血栓溶解剤のワーファリン
  • 抗不整脈薬のアミオダロン
  • 甲状腺剤のレボサイロキシン
  • クロバザム、ラモトリギン、バルプロエートなど、発作のための薬

薬物相互作用は、CBDの用量、服用の薬の用量、基礎疾患などに依存すると言われています。これらの薬を服用している人でCBD製品を使いたい人は、医師に相談する必要があります。

薬を服用していない人であれば、1日1kgあたり20mgのCBDの用量を超えなければ、肝酵素に対して一般的に安全と言われています。

悪影響を避けるために質のよい製品を選びましょう

市場に出回るCBD製品の中には、製品のラベルに表示されているCBDの量と明らかに異なっているものがあります。その製品を選んでしまった場合、自分が思っている以上にCBDを摂取してしまう可能性があります。

また、10mgというCBD含有量の少ないものから、5000mgという含有量の多いものまで、幅広い製品があります。自分の目的に合わせてCBD製品の形態や容量を選ぶことが大切です。
高濃度を選ぶ場合は、より多くのCBDを摂取してしまう可能性もあります。

販売業者が提供する第三者機関検査の分析証明書でCBDの量を確認し、また肝臓に影響を与える毒素があるかどうかを確認することで、毒性レベルを低く保つことができます。
高品質のCBD製品を選ぶことは様々なリスクを減らすことに繋がります。

まとめ

CBD一般について、まだ多くのことが知られておらず、さらなる研究が必要です。
現在わかっていることは、極端に多量のCBDを常用すると、肝毒性を引き起こす可能性がありますが、その量を摂るには現実的ではないレベルです。
推奨される摂取量内で摂取した場合や一般的な量であれば、CBDの肝臓への影響は確認されておらず、きちんとした品質のCBD製品を選べば、まず心配する必要はありません。

また、CBDは、ウイルス性肝炎、脂肪性肝疾患、虚血再灌流障害、肝硬変、肝臓がんなど、多くの主要な肝臓疾患において良い影響を与える可能性があると言われていますが、さらに多くの研究が必要であるとされています。

CBDはCYP450酵素を阻害することで、薬を代謝する肝臓の効率を低下させることもわかっています。
そのため、肝臓病、腎臓病、てんかん、心臓病、抗がん剤などの免疫力を低下させる薬を服用している人でCBD製品を使いたい人は、医師に相談した上で使用するのが賢明だと思われます。

どのようなものにも当てはまりますが、摂り過ぎには注意し、CBDを上手に生活に取り入れましょう。

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