CBDアイソレート、ブロードスペクトラム、フルスペクトラム、ディストレートの違いとは?どれが良いの?
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最近では少しつづですが、CBDが認知されてきました。
CBDを知り始めた人は、ブロードスペクトラムやフルスペクトラム、アイソレート、さらにはディストレートといった聞き慣れない言葉がたくさん出てくることでしょう。
CBD業界では、CBDの成分(スペクトラム)に関する用語の誤用が広まっていることで、CBDを知れば知るほど混乱が絶えません。
ここでは、フルスペクトラム、ブロードスペクトラム、アイソレートの違いからディストレートやクロマトグラフィといった製法の違いにも触れ、製品選びの参考にしていただければと思います。
INDEX
フルスペクトラムCBD、ブロードスペクトラムCBD、CBDアイソレートとは?
CBDを探していると、メーカーや製品によって、含まれる成分(カンナビノイド・スペクトラム)に違いがあることに気づくかもしれません。
CBDは含まれる成分によって、フルスペクトラム、ブロードスペクトラム、アイソレートの3種類に分けられます。それぞれの特徴と長所・短所をお伝えします。
フルスペクトラム CBDとは?
フルスペクトラムは、CBD成分だけでなく、ヘンプ(産業用大麻)に含まれている微量カンナビノイド、テルペン、フラボノイドなどの全ての成分を含むヘンプエキスを指します。
ごくわずかですが精神活性作用(ハイになる作用)をもたらすTHCも含まれており、日本ではフルスペクトラムは禁止されています。
フルスペクトラムCBDは、粗く抽出したヘンプエキスを精製することによって作られ、最も加工が少ない、自然に近い状態のエキスになります。
フルスペクトラムCBDの長所・短所
【長所】
- ヘンプ由来の全成分を含むため、アントラージュ効果の恩恵を受けられる。
- 健康に役立つとされるテルペンやフラボノイドも含む。
- 摂取量を増やすと、継続してさらなる実感が期待できる(後述)。
【短所】
- THCを含むため、精神活性作用をもたらすリスクがあり、日本では違法。
- THCを含むため、毎日大量に摂取していると薬物検査で陽性反応が出る可能性がある。
- ヘンプ特有の強力な味と香りがある。
- CBD以外の成分を含むため、ドーピング検査を必要とするアスリートは使用できない。
ブロードスペクトラムCBDとは?
ブロードスペクトラムCBDとは、THCを除いたカンナビノイド、テルペン、フラボノイドをすべて含んだヘンプエキスを指します。
ブロードスペクトラムは、一般的にディストレーション(蒸留)と呼ばれる精製方法で、ヘンプに含まる様々な植物性化合物を沸点の違いによって個々の化合物に分けた後、THC以外の化合物を再合成して作ります。こうしてつくられたCBDをディストレートCBDブロードスペクトラムと呼びます。
ただ、このディストレートCBDは、ヘンプエキスを自然の状態から遠ざけ、ヘンプ本来が持つ力を減少させる可能性があります。
ディストレーションは、取り出す個々のカンナビノイド(CBDやTHCなど)が気化する正確な点まで加熱するため、高温に弱いテルペンが失われ、CBDの良さ引き出すアントラージュ効果を妨げてしまうからです。
(そのため、ディストレーション製法の製品の中には、後からテルペンを添加するものもあります。)
また、ディストレーション製法によるブロードスペクトラム原料は、ハチミツのような黄色で、常温では固体結晶状で、溶解してから製品に加工するのですが、時間の経過とともに再び結晶化してしまう可能性があります。
これに対し、ディストレーション製法よりも低温でTHCのみを除去し、テルペンやフラボノイドなどを損なわずにヘンプエキスを完全な状態に保つことができる液体クロマトグラフィと呼ばれる精製方法があります。
液体クロマトグラフィ製法によるブロードスペクトラム原料は、濃い茶色で、常温でも結晶しないため、製品加工しやすくディストレートより賞味期限を長く保つことができます。
ブロードスペクトラムCBD製品のメーカーは、液体クロマトグラフィ法を優れたTHC除去プロセスとして考えていますが、高価な製法であるため、液体クロマトグラフィによるブロードスペクトラムは希少な存在となっています。
ブロードスペクトラムCBDの長所・短所
- THCを含まないため、精神活性作用をもたらすリスクがなく、日本では合法。
- 微量カンナビノイド、テルペン、フラボノイドなどが含まれているため、アントラージュ効果や健康上のメリットが期待できる(製法によりテルペンやフラボノイドが含まれない製品もある)。
- 摂取量を増やすと、継続してさらなる実感が期待できる(後述)。
【短所】
- フルスペクトラムやアイソレートに比べて入手しにくい傾向にある(特に液体クロマトグラフィ製法のCBDは少ない)。
- THCを含むフルスペクトラムよりもアントラージュ効果が劣る可能性がある。
- ヘンプ特有の風味が気になる場合がある。
- 現在のWADA(アンチドーピング機構)は単体のCBD成分しか認めていないため、ドーピング検査を必要とするアスリートは使えない可能性がある。
CBDアイソレートとは?
CBDアイソレートは、CBD単体の成分のみを取り出した原料です。
CBD以外のカンナビノイドやテルペンなどの成分は一切含まれていないため、アントラージュ効果は期待できません。
ヘンプエキスからCBDのみを取り出すために、多くは低コストで済むディストレーション製法が使われ、ブロードスペクトラムやフルスペクトラムよりも安く製造することができます。
形状はCBDを最も濃縮した純度の高い白い結晶性の粉末で、粉末状のままや、オイル(チンキ)やカプセルのような製品に配合されて使用されます。
CBDアイソレートの長所・短所
【長所】
- THCを含まないため、精神活性作用をもたらすリスクがなく、日本では合法。
- フルスペクトラムやブロードスペクトラムよりも低価格。
- テルペンを一切含まないため無味無臭。
【短所】
- アントラージュ効果がないため、ヘンプが持っている本来のCBDの力が発揮できない。
- そのため、ブロードスペクトラムやフルスペクトラムと同量を摂取して比べたとき、実感が足りないと感じる場合がある。
- 一定量を摂取した後、それ以上摂取しても、期待とは逆に実感できなくなる場合がある(後述)。
研究で分かっているCBDスペクトラムの性質
CBDの健康上の利点は、科学的根拠に基づいて裏付けされていますが、臨床研究はまだ限られています。
以下では、フルスペクトラム、ブロードスペクトラム、アイソレートを比較研究したものに焦点をあて、スペクトラムによってどのような違いがあるのかお伝えします。
THCとの組み合わせが最も痛みを和らげる
1975年から2018年初頭までの研究を調べたCBDに関する2018年の研究レビューでは、ヒトでの研究は限られているものの、動物実験では「CBDとTHCの両方を含む大麻が、痛みに対して何らかの効果を示している」と結論付けています。
しかし、THCを完全に避けたい人や、日本のようにTHCを含む製品が規制されている国では、フルスペクトラムは使用できません。
その場合、THCを除く天然由来のカンナビノイドや化合物を含んだブロードスペクトラム製品が代用される傾向にあります。
アイソレートはCBDの力を十分に発揮できない
CBDは、カンナビス・サティバ(大麻草)に含まれる100種類以上のカンナビノイド化合物の一つです。カンナビスには、CBN、CBG、THC などのカンナビノイドや、ミルセン、ピネン、リモネン、β-カリオフィレンなどのテルペンも含まれ、CBDの支持的な役割を果たします。
CBDは健康をサポートする大きな可能性を秘めていますが、CBD成分単体で摂るよりも、CBD以外の成分と組み合わせることで最も力を発揮すると報告されています。 これを「アントラージュ効果」と呼びます。
アイソレートはCBD以外の成分を含まないため、アントラージュ効果を期待することができません。
このアントラージュ効果は、広く受け入れられた理論で、Etahan Russo博士の2011年の査読付き論文『Taming THC:Potant Cannabis Synergy and Phytocannabinoid-Terpenoid Entourage Effects (潜在的な大麻の相乗効果と植物カンナビノイド・テルペンのアントラージュ効果)』の中で詳しく述べられています。
現在進行中の研究においても、フルスペクトラムとブロードスペクトラムの両方のCBDが、特定の健康上の悩みに対してベネフィットをもたらす可能性があるとされています。
アイソレートの神話が覆される
2015年以前は、CBDアイソレートはフルスペクトラムCBDよりも良い影響を与えるものであると信じられていました。しかし2015年のエルサレムのローテンベルグ総合腫瘍免疫センターが行った研究によって、この神話は否定されました。
この研究では、フルスペクトルCBDの方が、CBDアイソレートを使用したグループと比較して、より高いレベルでの救済を報告しています。
テルペンとカンナビノイドの組み合わせが健康的利点を向上させる
カンナビスには、CBDと同じように健康的なベネフィットを持つ、100種類以上のカンナビノイドと、200種類以上のテルペンやフラボノイドが含まれています。
CBDはこれらの植物成分とともに、記憶、痛み、気分、睡眠、免疫機能などをコントロールする「エンドカンナビノイドシステム」と呼ばれる体内システムに相互に働きかけることで、心身のバランス維持をサポートすることが期待されています。
中でも重要なのが、テルペンという植物の香りの元となる成分です。
British Journal of Pharmacologyの2011年の研究では、カンナビノイドとβ-カリオフィレンなどのテルペンとの組み合わせがより良い結果をもたらし、植物カンナビノイドとテルペンを一緒に摂取することで健康的な価値を向上させる可能性を明らかにしています。
また、2018年の研究では、特定のフラボノイドやテルペンが、健康に有益な結果をもたらす可能性があることがわかっています。
ロッソ博士は、大麻の薬用に関する数十の研究論文の結果と薬理学に基づいて、様々なカンナビノイドとテルペンの明らかな相乗効果についてまとめています。
フルスペクトラムとブロードスペクトラムは増やしても実感を継続
2015年に『Journal of Pharmacology and Pharmacy』に発表された動物研究では、CBD単体が臨床研究においてベル型の用量反応を示しました。
ベル型(二相性)の用量反応とは、CBD単体(アイソレート)の用量を増やすと、ある程度まで結果が期待できますが、一定用量を超えると影響が低下し、逆に実感しにくくなっていくという事実を示しています。
これに対し、微量カンナビノイドやテルペンと組み合わせたCBDでは、摂取量を増やすことで、さらに実感が継続することが示されました。
科学者たちからは、「フルスペクトラムやブロードスペクトラムのCBD製品は、CBDアイソレートより高価だが、結果を比べた時にそのコストに見合う」と言われています。
どのスペクトラムを選んだら良い?
CBDにおける各スペクトラムの特徴や長所・短所、研究結果をみてきた中で、自分にはどれが合うのか迷われる方もいるかもしれません。
人によってCBDに期待することが異なり、人によってCBDを摂取した時の反応に差があるため、おすすめのスペクトラムを一概に言うことはできません。
以下では各スペクトラムがどのような人に向いているのかを整理しますので、自分にはどれが最適なのかを判断する材料にしていただければと思います。
フルスペクトラムCBDが向いている人は?
- 大麻が合法化されている国や場所にお住まいの人
- THCのリスクを許容することができ、CBDの恩恵を最大限に享受したい人
- CBDアイソレートやブロードスペクトラムCBD製品では対応しきれない重い悩みを持つ人
ブロードスペクトラムCBDが向いている人は?
- 日本などの、THCが厳しく規制された国にお住まいの人
- THCのリスクを避け、アントラージュ効果による自然に近いCBDの恩恵を享受したい人
- CBD以外のテルペンやフラボノイドなどの恩恵も享受したい人
- アイソレートでは対応しきれない悩みのある人
CBDアイソレートが向いている人は?
- 日本などの、THCが厳しく規制された国にお住まいの人
- THCだけでなくその他のカンナビノイドも避けたい人
- ヘンプ特有の風味がない製品を好む人
- ドーピング検査を必要とするアスリート
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